M101銀河に点在するHⅡ領域

 「回転花火銀河」とよばれるM101・・・しかし、眼視ではなかなか“回転花火”のようすは見えてきません。でも、写真にとらえれば画像1に示されるように、見事な“回転花火”のようすが見えてきます。なるほど、Scd型の渦巻銀河で、その広がった腕が、遠心力で飛び散る火花のように見えます。そして、その広がった腕をよくよくながめると、腕に沿って赤い色をした領域が点々と連なっていることがわかります。

画像1

2010年4月25日
35cmシュミットカセグレン望遠鏡
レデューサー

合成焦点距離2485mm(F7)
露出8分を8枚コンポジット合成(加算平均)
ASTRO 50D(冷却 EOS 50D)
ISO3200

ホワイトバランス  オート
NRF-JPNフィルター

 画像を拡大し、さらに赤い領域を強調して処理したのが画像2です。あちこちに点在する赤い領域は、HⅡ領域といわれる領域で、水素原子が生まれたての星からの紫外線のエネルギーで電離し赤く発光している領域・・・つまり、盛んに星が生まれている領域です。私たちの銀河系ではオリオン大星雲M42などが有名ですが、このM101銀河にもオリオン大星雲のような星の生まれている場所がたくさんあることがわかります。

 中心には黄色っぽく核が見えていますが、そのすぐ右に赤い斑点があるのがわかります。一般的に銀河の中心部は老齢な星たちが集まり巨大なバルジとなっているものだと思われているのですが・・・この銀河では、中心部にまで若い星を生み出すHⅡ領域があるようです。画像3でさらに拡大し、中心部のようすをながめてみましょう。

画像2

画像3

 矢印の先に暗黒帯がありますが、その下に赤い領域が見えています。中心から数1000光年程度のところにあると思われます。また、濃淡があちこちにあることから、星の材料である暗黒のダストが中心部にも豊富に存在していると思われます。

 M101銀河・・・それは、これからもまだまだ星を生成し続ける生きた銀河といえるでしょう。ガスが失われ、すでに星生成は止まっていると考えられているS0型レンズ状銀河や楕円銀河とはまったく違う世界であります。一口に銀河といってもいろいろあるものです。